この雨を切り裂け!/スマホ壁紙アーカイブ
雨は空から落ちているのではない。
この瞬間だけは、世界そのものが赤いマシンの前に立ちふさがる“壁”として形を変えて降り注いでいた。
視界は霞み、風は暴れ、路面は鏡のように光りながら牙を剥く。
それでも彼は迷わない。
アクセルを踏み込む足は迷いを知らず、エンジンの鼓動は雨音よりも強く響く。
赤いマシンは、まるで嵐に挑む矢のように一直線に走る。
水しぶきが左右に激しく割れ、後方へと飛び散るたび、彼は確かに感じる——
自分は今、雨を切り裂き、世界の中心を貫いているのだと。
その瞬間、恐れも雑念も存在しない。
ただひとつ、濡れた地面と赤い魂が描く、滑らかで鋭い一本の軌跡だけが残った。
呪文
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