籠絡前
実在の人物や団体などとは関係ありませんので悪しからず!!
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出張帰り。
乗るはずだった新幹線が、まさかのゲリラ豪雨で終日運転見合わせになってしまった。
近場のホテルを探して歩き回ったが、受付の人に「満室です」と申し訳なさそうな顔をされたのは、何回目だろうか……。
仕方なく近場のネットカフェやカラオケも回ってみたものの、満席。
「この辺はもう、どこも空いてなさそうだな。」
深いため息をついた時だった。
「先輩〜!」
後輩がスマホを見ながら、妙にニヤつく。
「一軒だけ空いてるとこ、見つけましたよ。」
「マジか!?
助かった!」
「ただぁ……。」
喜んだのも束の間。
後輩にスマホの画面を見せられた瞬間、俺は固まった。
“レジャーホテル 空室あり”
「いやいやいやっ、無理無理無理ッ!」
「泊まれそうなとこ、近場では他にないですよ?
服濡れたまま野宿でもします?」
「……。」
結局、やむなく後輩と二人でそこへ向かうことになった。
通された部屋は無駄に広かった。
キングサイズのベッドに、ピンク色っぽい間接照明。
風呂場はガラス張り。
部屋の雰囲気が、いかにもって感じで……。
俺は入室した瞬間からずっと落ち着かなかった。
「……俺、ソファで寝るから。」
「え〜、先輩、緊張しちゃってるんですか〜?
よく見てくださいよ〜。
先輩が寝れそうなサイズの“ソファ”なんて、この部屋には存在してませんけど?」
確かに……。
ついお決まりなセリフを口走ってしまったが、目の前にあるのはソファというより一人掛けの椅子だ。
「あんなにベッド広いんですから、一緒に寝ても余裕ですって。」
「いや、だったら床で寝るから大丈夫だ。」
「彼女さんに怒られるから?」
後輩のその言葉に、俺はピクリと反応する。
「まあ……、そりゃな。」
「ふーん、先輩は彼女さんに一途なんですね〜。」
後輩は意味深に笑いながら、濡れた上衣をハンガーに掛け、鞄から大きめなポーチをとりだしていた。
「先輩って、真面目ですよねぇ。
あ、先にお風呂使わせていただきますね〜。」
わざとらしく肩をすくめたあと、彼女は立ち上り風呂場へ向かう。
「どーぞ、ごゆっくり。」
「あ、私の公開お風呂シーン、遠慮なく覗いちゃってもいいですからね♡
それとも、一緒に入っちゃいます?」
「覗かねぇし、一緒になんか入らねぇよ!!
いいから無駄口叩かず、さっさと風呂に入ってこい!」
シャワーの音だけが遠くで響く。
ガラス張りの風呂場に背を向けて、視線と意識を逸らす為にひたすらスマホを弄った。
部屋には大画面のテレビもあったが、電源を入れた瞬間に気まずいAVが流れたら……と思うと、リモコンの電源ボタンを押す勇気はなかった。
「先輩、お風呂どうぞ〜。」
バスタオルを体に巻いた後輩が風呂場から出てきてからは、なるべく後輩を視界に入れないようにして風呂場に向かった。
ガラス張りのお風呂は外からも丸見えだが、もちろん中からも丸見えなわけで……。
俺がシャワー浴びてる間も、後輩がガラスの横を通ってウロウロしてるのがなんとなく視界の片隅に入ってくるわけで……。
とにかく「邪念を払わねば!」と、無の境地で風呂を終えた。
「ちょっ、おまっ……!
なんつー格好をしてんだよ!!」
俺が風呂から上がると、後輩はバスタオルを体に巻きつけていた姿ではなくなっていたが……。
キャミソールにストッキング。
しかもノーブラで、たぶんノーパン。
「だって、さっき寄ったコンビニで買えたのがこんなもんだったんですよ〜?
男性はいいですよね〜、コンビニに下着類もわりと置いてありますもんね。」
肌の露出度だけでいえば、バスタオルよりもかなり少ない。
……が、これはこれで色々と問題大アリすぎんだろ!
でも、考えたら負けだ。
さっさと寝るに限る!
深く深呼吸のようなため息をついた後、ペットボトルの水を飲みながら部屋の電気を少し落とした。
短い沈黙の後、後輩がぽつりと呟いた。
「先輩……、もう寝ちゃうんですかぁ?」
その声が、やたら色気を含んでいて柔らかかった。
俺は持っていたペットボトルを危うく落としかける。
「お、お前な……。」
「なんです?」
「そういう言い方、やめろ。」
「どういう言い方ですか?」
くすくすと笑う後輩。
完全に遊ばれている。
俺は頭を抱えた。
「ねぇ、先輩……。
ちょっとくらいはドキドキしちゃってるんじゃないですかぁ?」
「してない。」
即答。
しかし目線は露骨に泳いでいる。
後輩はそれを見逃さなかった。
「ほんとにぃ?」
後輩は小悪魔みたいに首を傾げる。
「だって、こんなに可愛い後輩とラブホですよ?
エッチな展開とか想像しちゃいません?」
「しない!
ラブホに泊まることになったのも、不可抗力だから!
もうっ、頼むから誘惑してくれるなよ……。」
すると後輩は少しだけ目を丸くして、それから嬉しそうに笑った。
「へぇ!
先輩には誘惑してるように聞こえてたんですね?」
「……揚げ足取るなよ。」
「だって先輩、ずっと私のこと見ないようにしてるし?」
図星だった。
俺は観念したみたいに大きく息を吐く。
「……俺をからかうの、そんなに楽しいか?」
「めちゃくちゃ楽しいですよ!」
「悪趣味だな。」
「でも安心してください。」
後輩は意地悪そうに、ニヤリと笑う。
「私、先輩が本気で困ることはしませんから。」
「……信用していいんだな?」
「たぶん?」
「“たぶん”ってなんだよ!?」
「だって、先輩が望むのなら……エッチなこともやぶさかではないな〜と思ってますので♡」
この後の展開は……。
ご想像にお任せします!
✎𓈒𓂂𓏸
後輩(♀)に振り回される先輩(♂)、、、
どんなオチでもアリ♡
呪文
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