本日のランチ
『食彩探訪』12月号特集
「12月4日 冬の昼にしみわたる──カレイの煮付け定食」
文・撮影:田嶋 達郎(グルメ記者)
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湯気が白く立ちのぼる季節になると、
煮魚のやさしい香りが、なにより心を落ち着かせてくれる。
今日いただいた カレイの煮付け定食 は、
その“落ち着き”をしっかり味わわせてくれる一皿だった。
煮汁の琥珀色が美しい皿の中央に、
ふっくらと煮上がったカレイ。
箸を入れただけで、ほろりと身がほどけていく。
甘辛い煮汁をしっかり吸い込みながらも、
魚そのものの旨みはきちんと残っていて、
噛むたびにやさしい海の香りが広がる。
添えられた大根にも注目したい。
出汁をしっとりと吸い込み、
舌の上でふるりとほどける。
煮魚と大根はどうしてこんなにも相性が良いのだろう。
ふとそんなことを考えてしまう。
さらに、上に乗った針しょうがが実にいい仕事をしている。
煮付けのまろやかさにキリッとした風味が入り、
味に一本芯が通るような感覚だ。
定食の仲間たちも安定の布陣。
出汁の香り高い味噌汁、
つやつやの白ごはん、
コリコリと歯ざわりのよいたくあん、
そして味を引き締めるきゅうりの浅漬け、
香ばしいきんぴらごぼう。
どれもが煮付けを支える“良い助演”で、
口の中のリズムを整えながら最後まで飽きさせない。
冬の昼に求めていたものが、
そのまま形になったような定食だった。
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◆次回予告
12月5日:まろやかで熱々──「豆腐チゲ風定食」を予定。
寒い日の身体を、芯から温めてくれます。
──今日も、いい煮含めだった。🐟✨
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