【TSポンコツ女神】第52話 「迷い子の夜と、幸福の木」
あぶ著
『異世界帰りのTSポンコツ女神、信仰ゼロから配信で生き残る!』
第52話
「迷い子の夜と、幸福の木」より
「……ええ、今の言葉では信じていただけませんわね。ならば……お兄様が、貴方にずっと見せてあげたかった景色。俺が、お前に見せたかった景色を……今ここでお見せしますわ!」
俺は背後にある巨大な『ドラセナ』へと振り返り、持ちうるすべての『信仰心』を全開放した。
俺の体から溢れ出した黄金の光の粒子が、夜の闇に沈んでいたドラセナの木を優しく包み込む。その瞬間だった。
何十年も花をつけなかった硬い枝から、無数の蕾が一斉に芽吹き――ポンッ、ポンッ! と夜の静寂を破って、幾千もの淡く黄色い花が、まるで黄金の星のように咲き誇った。
同時に、むせ返るほどに濃厚で、ひどく甘い花の香りが爆発的に広がり、一瞬にして温室の空気を支配する。夜にしか咲かない幸福の木の花が、俺の神力によって完全な満開を迎えたのだ。
「…………っ」
数秒間、雫は言葉を失っていた。目を見開き、夜空の星のように煌めく黄金の花と、そこから降り注ぐ光の粒子を、ただ呆然と見上げていた。
呪文
入力なし