赤銀ストライプ サイクリング
群体アンドロイド「青ぽにちゃん」の一体が調査のため訪れたその地は、見慣れぬ構造物が立ち並ぶ都市だった。
建築物はすべて、流線型のシルエットに赤と銀の縞模様をまとい、まるで都市全体がひとつの意志を持って設計されたかのようだった。
この赤銀縞模様には、ふたつの起源が推測されている。
一つは、旧時代の航空法に定められた「昼間障害標識」の名残。
高層構造物が空の安全を妨げないよう、その存在を視認しやすくするための配色だったという。
もう一つの説は、さらに神秘的なものである。
かつて「光の国」より来訪したという巨神を、この都市の民は崇拝していた。
赤と銀の縞模様は、その神の姿を象徴した神聖な意匠であり、都市のあらゆる建築物が神殿として機能していたという伝承もある。
いずれにせよ、青ぽにちゃんが目にしたこの都市は、現在の都市ネットワークからは完全に切り離された「異端」の場所。
量子ネットワークも届かず、かすかな電波ノイズと、風に揺れる赤銀の影が、静かに語りかけてくるだけだった──。
・話の続き
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