裏:幸多さんの夏休みの絵の課題 のつづき(副題:ムチムチな子)
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蝉の声が響く夏の午後、畳の部屋に風鈴の音が涼やかに響いていた。幸多は夏休みの美術の宿題で、親友のこなつをモデルにスケッチをしていた。
「こなつ、もうちょっとそのままでいてね」
幸多は鉛筆を握りながら、真剣な表情でスケッチブックに向かっていた。しかし、暑さに負けたこなつは、いつの間にか畳の上でうとうとと居眠りを始めてしまった。
キャミソール一枚の軽装で横になったこなつは、寝返りを打つうちにキャミソールがずり上がって、おへそが見えてしまっていた。
「あ、あれ?こなつ?」
幸多は声をかけたが、こなつはすやすやと気持ちよさそうに眠っている。困った幸多は、スケッチブックを置いて、そっとこなつに近づいた。
「キャミソール、ずれちゃってる...直してあげないと」
そう思って身を屈めた時、こなつの寝顔があまりにも可愛くて、思わず見とれてしまった。汗ばんだ頬、すやすやとした寝息、無防備な表情。普段は元気いっぱいのこなつの、こんな静かな姿を見るのは初めてだった。
「可愛い...いつもと全然違う」
気がつくと、幸多は上着を脱ぎ棄て、こなつの顔のすぐ近くまで身を乗り出していた。その時だった。
「ん...?」
こなつがゆっくりと目を開けた。
「あれ?幸多さん?」
寝ぼけたこなつは、目の前にある幸多の顔を見てぼんやりと呟いた。
こなつはようやく現実に戻ってきて、自分の状況に気づいた。
「あれ?なんで近くにいるの?」
「あ、あのね!キャミソールがずれてたから直そうと思っただけなの!決して変なことしようとしてたわけじゃないから!」
「え?キャミソール?」
寝ぼけ眼のこなつは自分の服装を確認した。
「あ、本当だ。ずれてる」
こなつはあっけらかんとキャミソールを直した。
「幸多さんありがとう」
「あ、う、うん...」
一方で幸多は顔を真っ赤にしたまま、なかなか落ち着けずにいた。
「幸多さん、顔真っ赤だよ?大丈夫?あとなんで下着?」
「だ、だいじょうぶ!わ、わたしも暑かっただけだから!」
幸多は顔を赤くしながら、なかなかスケッチは進まなかった。
「こなつ、寝顔も可愛かったよ」
「そうなの?えへへ、ありがとう!」
幸多は自分が何を言ったか気づいて、また顔を赤らめた。
「あ!今のなし!」
夏の午後の小さな出来事は、少なくとも幸多の心に甘酸っぱい思い出として残るのだった。
呪文
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