「チョコミント味じゃない」
白いノースリーブのワンピースを着て、黄色い花のついた麦わら帽子をかぶったアカネは、ワクワクしながらカウンターに近づきました。「チョコミントアイスをひとつください」と元気よく注文しました。
しばらくして店員さんが持ってきたアイスを見て、アカネの顔から笑顔が消えました。カップの中には黄色いアイス、コーンには青いアイスが。「あの、これチョコミントじゃないよ…」とアカネが小さな声で言いました。
店員さんは慌てて謝りましたが、がっかりしたアカネは、プールサイドの椅子に座り、涙を流し始めました。
青いアイスはブルーハワイ味で、子供たちに人気の味でした。黄色いアイスはバニラ味でした。どちらも美味しいアイスですが、アカネの心は晴れません。
赤い髪と緑の瞳が印象的なアカネは、頬を涙で濡らしながら、片手にブルーハワイアイスのコーンを持ち、膝の上にはバニラアイスのカップを置いていました。
プールの青い水面、カラフルなパラソル、揺れる椰子の木。周りは楽しそうな雰囲気に包まれていましたが、アカネの心の中は暗雲が立ち込めていました。
「チョコミント味が食べたかったのに…」とアカネは心の中でつぶやきました。大人になれば、こんな小さな 間手違いでも笑って済ませられるかもしれません。でも今のアカネには、この失望が世界の終わりのように感じられたのでした。
呪文
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