本日のランチ
「11月7日 中華香る昼下がり──彩り酢豚定食」
文・撮影:田嶋 達郎(グルメ記者)
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金曜日の昼、いつもの定食屋がほんの少し異国の香りをまとっていた。
今日の日替わりは、中華ランチセット──酢豚定食。
湯気の立つ皿に盛られた酢豚は、赤・緑・白のコントラストが鮮やかだ。ピーマンの青い香り、玉ねぎの甘み、そして一口大の豚肉が照りのある甘酢あんに包まれて輝いている。箸を入れると、衣がほどよくやわらかく、噛むたびに肉汁と酸味が混ざり合って、口いっぱいに旨味が広がる。思わず白ごはんをかき込みたくなる──そんな罪深い一皿だ。
小鉢のもやしナムルは、ごま油の香りが効いており、箸休めとして実に優秀。
スープはふわふわの卵スープで、優しい塩味が舌を包み込む。
さらに、一口餃子が添えられているのが心憎い演出。もちっとした皮と香ばしい焼き目、タレに沈むラー油の香りが、食後の満足感をさらに押し上げる。
この日替わりは、まるで昼の小旅行。
食べ終わるころには、すっかり体も心も温まり、午後の仕事もなんだか頑張れそうな気がした。
「和食の店で、ここまで中華がうまいとはね」──思わずそんな独り言が漏れる昼だった。
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次号は、秋の味覚をテーマにした「きのこと鮭の定食」特集。
田嶋記者の“定食探訪”は、まだまだ続く。
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