マッドサイエンティストは叫ぶ その2「化学部部長の異能考察」
「彼らの使う力は我々の異能に通ずるのがあると思うんだよ、助手くん」
「はぁ」
学者のタマゴを育成するヒノイの教育機関「メーテスアカデミア学園」の化学部部室で、化学部部長が助手くんに語る。
「陰陽師や妖怪変化の伝承は転移前のヒノイの歴史にもあった。それが実在しているというのは大変興味深い事だよ」
「まあ確かに…」
おや、今回は学術的な話だな…と、助手くんは少女の話に耳を傾ける。
「つまりだね、シラクレナの住人を生態解剖すれば、異能研究も躍進すると思うんだよ。ヒノイのノーマとシラクレナの能力者。その能力の類似性について生態科学と病理学、生物学の分野からダイレクトなアプローチを行う事でノーマの異能研究の大きな一歩になると私は確信しているんだ!」
両手をわきわき動かしながら、段々早口になっていく化学部部長。
おいおい、なんか妙な事言い出したぞこの人?
なんかものすごく「悪い顔」になってるし、まさか……。
助手くんが身構えた瞬間、部長はこう告げた。
「そんな訳で、ちょっとシラクレナまで行ってくる。サンプルとして2、3人現地人を捕獲してくるよ」
言うが早いか部室を飛び出そうとする部長を、助手くんが速攻で羽交い締めする。
「そういうのは捕獲じゃなくて拉致というんです!アンタ、国際問題を起こす気ですか!?」
「離せ!科学の発展の為には必要なことなんだ!私に解剖させろぉーー!!」
学究の学び舎に、またもマッドサイエンティストの叫びが木霊する……
呪文
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