163 糸目の子とうなじと勉強と
あの子が僕に聞いてくる。
さっきの公式じゃなくて、その前の公式を当てはめるんだよーーー僕は少しの優越感と気恥ずかしさ、それと共にちっぽけな自尊心が満たされるのを感じた。
たったこれっぽっちでも想いを寄せる人に頼られると言うものは嬉しいものだ。
彼女がなるほどと頷きまた机に向かう。
今日は図書室で仲が良いグループで集まって勉強会……のはずだった。
いるのは僕とあの子だけ。
来るはずだった2人はどうしたのか、と彼女に聞いた。
すると彼女は少し考えてから、ちょっぴり困ったように、
「急な用事ができたんじゃない?」
と答えた。
あぁ、呼び出すのも野暮か……、僕も妙に納得してしまった。
いやしかし、2人のうちのあの子は今勉強しなくとまだ大丈夫だろうけども、あいつの方は結構危険域だったような……、まぁ自業自得だと割り切ろう。
「ーーそれにしてもきみの教え方本当に分かりやすいね」
あの子が僕に笑いかけた。
僕の手は止まってしまい、目は彼女に奪われる。
不思議そうに微笑む彼女に、なんでもない、と慌てて返した。
「じゃ、もうひと頑張りしますかね」
彼女が一伸びしてまた机に向かう。
静寂の中、ペンの叩く音だけが響く。
風にそよぐ彼女の髪、ふと見える彼女のうなじに妙にドキドキと鼓動が高まった。
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