小説『堆盧スミカ』【ニャンノ世界】
『堆盧スミカ』
冥土隊がネオ越夜隊の機械戦力に
対抗して設計されたBerを拠点に
冥土による増産および運用を軸にした
戦略的な反抗作戦…Bermaid計画
によって生み出された、冥土
堆盧(ツイノ)スミカ、主陣博士が
博士型ロボカノ
道実登博式(ミミノハクシキ)と
共同で開発した試作第一号にして、
量産型ロボカノたちの戦闘、感情データも内包したヒューマノイドである。
所属は冥土隊
彼女は、まだまだ不完全な所もあって
苦悩する様すら感じられた。
そう、この〈苦悩する〉〈悲しみ〉ながら思考するのが、堆盧スミカの個性といえる。
月と闇夜が映し出され、グラスが光る
「主陣様、もしかして、私は廃棄されるのでしょうか」
無機質ながらも、その声音には、悲しみすらも感じられた…
「いや、そんなことはしないよ、どんなには不完全でも、どんなに形が歪でも、それが君らならば、愛しているからね」
主陣はロボカノの疑似細胞の一片まで愛しているほどのマッドな存在だった。
「道実登さんや紅一式さん、布忍ナリキレさん、創号章庫さん、紅一式イチゴさんから変態扱いされています、もしかして、ワタシにも変態なことを」
「いやいや、そんなことはしないよ…しないから」
「ですが、可能性的にワタシが思うに、この後、深夜にウフフなことをする可能性もあると見受けられます…」
「いやいや、そんな僕は疲れてるんだよ…大丈夫、安心して」
「できません、もし、倫理規定を脅かす場合は、貴方のイチモツをこの鋼鉄の手によって破壊します」
物騒なことを言うのも、彼女の特徴である。今までデレデレな存在やツンデレ要素を込めたものを製作してきた主陣であるが、彼女の場合は究極のツンツン、デレることなど一切ない、ラスボス級の性格設定にしたのだ。
地べたを這いずりまわり土下座をしたりと言ってくるかもしれないと主陣はソワソワしていたが…スミカは彼に諭すように
こう述べた…
「いいですか、主陣さん、ワタシはアナタの親ではないから、これは、ロボットの戯れ言でしかありませんが、作られた命にも思うことはありますよ…だから、自分の都合の道具にはしてほしくはないのです…いいですね、ワタシはアナタの物語の道具ではないことをゆめゆめ承知しつつ、覚悟を持って愛してくださいね、いいですか、覚悟です、覚悟なき物語など、称賛を求める物語に道はあろうかと言うことを言いたいのです」
「称賛、道…」
脳裏でよぎる、主陣博士のやってきたことがフラッシュバックして閃光となる。
「確かに…ワタシはどこか、君たちを都合のいい道具として扱っていたかもしれない…だけど」
「聞きたくありません…アナタの悲劇はワタシにとっての闇、闇はアナタを食らいつくすでしょう…ですが、悲劇の後には何がありましょうか」
主陣博士は彼女の言葉で、何が好きなのか知った…
貪欲なまでに悲劇的なものが好きなペシミストだったのだ。
ペシミストが好きなものは陽の要素を含んだものより月の要素を込めたものを好む…つまり、彼女は筋金入りのバーメイドなのだ。
慰めはいらないし、完璧に理解することは難しい、説得も必要ないし、では、何がいいのか…そう、彼女に語りかける言葉は要らない
そう、お気に召すままに在ることだ…
呪文
入力なし