エルフの蜜と行商人
使用したAI
Custom Model
最近は各国ともに国境警備も緩和されつつあり、私も国をまたいだ行商を再開することにした
戦時中数年切り盛りした店を売り、新たな荷馬車買って特産品を積めるだけ積んで出発した
エルフェアル中央部は未だ排他的なため、人間種の比較的多い巨大湖周縁部の集落を回ることにしている レスランドにも近いこの集落も常宿の一つだった
念のため望遠鏡で集落の状況を確認する どうやら戦火は免れたらしい、と、集落の入り口で手を振る人影があることに気づく 意識するだけでここまでの望遠ができるというのは、純人間の私には理解しがたい感覚だ
「数年ぶりですね ご壮健なようでなによりです」
この集落の長を務めるエルフだった 数年ぶりだが向こうは少しも変わらず美しく、可憐な姿のままだった
私はこの道程で腰の心配をする歳になったのだと実感したというのに
「私ですか？ はい、ちょうど蜜を売ろうとしていたところでして、ご縁を求めて門前に立とうとしたらあなたが見えたもので
そうですね、これもご縁ですので
私の蜜 いかがですか？」
エルフが「直接」売る蜜は幻の高級品だ 私も仕入れたのは片手で数えられる程度であり、商談もこんな感じの「ご縁」が徹底される
そして今回提示された値段も驚くべきものだった
いや事情は知っている よく「知っている」 値段は中央の「搾りカス」共が決めるのだ 彼女に裁量は無い
手持ちでは間違いなく足りない、この集落でいくら…と頭の中で算盤をはじいていると、大丈夫ですよ と彼女は微笑んだ
「お菓子をあるだけ買わせてください またあの頃のように子供たちに配りたいんです」
物々交換のような取引でどうにか仕入れたこの蜜を、私は未だに捌くことができないでいる
好事家にのもとで瓶の封印と署名を見せればどんな値段を吹っかけても一発だし、いい伝手ができる
オークションに持ち込んでしまってもいいだろう、いっそ海を航ってしまおうか
はぁ、あまりに高価でナマモノでワレモノ おまえも行商人ならさっさと捌くべきだろう
今日も私は宿屋で瓶に鼻を近づけて、微かに漏れる甘いにおいに溺れている
まだ親の行商について言った頃の、お菓子は無いけど甘い果物ならたくさんあるのよ、と 膝の上で食べさせてくれた記憶
もう背を抜かれてしまいましたね と 少し寂しそうに笑っていた記憶
きっと、また来てくださいね と 消え入りそうな声は開戦前の記憶
次に会うときは爺さんだ と言ってしまった時に見せてくれた、この間のあの顔 それを自分に向けてくれた時の嬉しさとか申し訳なさとか、その晩の鮮烈な感覚とか
頭の中をぐちゃぐちゃにかき混ぜられながら、今日も又「明日売ろう」と心に決めた。
戦時中数年切り盛りした店を売り、新たな荷馬車買って特産品を積めるだけ積んで出発した
エルフェアル中央部は未だ排他的なため、人間種の比較的多い巨大湖周縁部の集落を回ることにしている レスランドにも近いこの集落も常宿の一つだった
念のため望遠鏡で集落の状況を確認する どうやら戦火は免れたらしい、と、集落の入り口で手を振る人影があることに気づく 意識するだけでここまでの望遠ができるというのは、純人間の私には理解しがたい感覚だ
「数年ぶりですね ご壮健なようでなによりです」
この集落の長を務めるエルフだった 数年ぶりだが向こうは少しも変わらず美しく、可憐な姿のままだった
私はこの道程で腰の心配をする歳になったのだと実感したというのに
「私ですか？ はい、ちょうど蜜を売ろうとしていたところでして、ご縁を求めて門前に立とうとしたらあなたが見えたもので
そうですね、これもご縁ですので
私の蜜 いかがですか？」
エルフが「直接」売る蜜は幻の高級品だ 私も仕入れたのは片手で数えられる程度であり、商談もこんな感じの「ご縁」が徹底される
そして今回提示された値段も驚くべきものだった
いや事情は知っている よく「知っている」 値段は中央の「搾りカス」共が決めるのだ 彼女に裁量は無い
手持ちでは間違いなく足りない、この集落でいくら…と頭の中で算盤をはじいていると、大丈夫ですよ と彼女は微笑んだ
「お菓子をあるだけ買わせてください またあの頃のように子供たちに配りたいんです」
物々交換のような取引でどうにか仕入れたこの蜜を、私は未だに捌くことができないでいる
好事家にのもとで瓶の封印と署名を見せればどんな値段を吹っかけても一発だし、いい伝手ができる
オークションに持ち込んでしまってもいいだろう、いっそ海を航ってしまおうか
はぁ、あまりに高価でナマモノでワレモノ おまえも行商人ならさっさと捌くべきだろう
今日も私は宿屋で瓶に鼻を近づけて、微かに漏れる甘いにおいに溺れている
まだ親の行商について言った頃の、お菓子は無いけど甘い果物ならたくさんあるのよ、と 膝の上で食べさせてくれた記憶
もう背を抜かれてしまいましたね と 少し寂しそうに笑っていた記憶
きっと、また来てくださいね と 消え入りそうな声は開戦前の記憶
次に会うときは爺さんだ と言ってしまった時に見せてくれた、この間のあの顔 それを自分に向けてくれた時の嬉しさとか申し訳なさとか、その晩の鮮烈な感覚とか
頭の中をぐちゃぐちゃにかき混ぜられながら、今日も又「明日売ろう」と心に決めた。
呪文
呪文を見るにはログイン・会員登録が必須です。
イラストの呪文（プロンプト）
jacket partially removed, heart in eye, burnt clothes, holding fishing rod, kanji, doujin cover, pentagram, tape gag, adjusting headwear, red socks, friends, cloud print, coke-bottle glasses, oral invitation, competition school swimsuit, barbell piercing, gradient legwear, prisoner, blood on breasts, wind chime, carrying over shoulder, tape measure, flaming weapon
イラストの呪文（ネガティブプロンプト）
jacket partially removed, heart in eye, burnt clothes, holding fishing rod, kanji, doujin cover, pentagram, tape gag, adjusting headwear, red socks, friends, cloud print, coke-bottle glasses, oral invitation, competition school swimsuit, barbell piercing, gradient legwear, prisoner, blood on breasts, wind chime, carrying over shoulder, tape measure, flaming weapon
- Steps 50
- Scale 11
- Seed
- Sampler DPM++ 2M Karras
- Strength
- Noise
- Steps 50
- Scale 11
- Sampler DPM++ 2M Karras
![体育の時間。[其ノ参]](https://chichi-pui.imgix.net/uploads/post_images/a63fd885-b8e5-4437-af63-1205f1ce3e2b/a5e8459f-0b2d-4c08-aa84-5cd0af83bd41_1200x.jpeg?auto=format&crop=focalpoint&fit=crop&fp-x=0.5&fp-y=0.37730403159981346&height=400&lossless=0&width=400)
