本命渡せなかった乱
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某日――ラーヴィは、椿咲と幻刃からディナーに招待された。
(…やな予感しかしない)
指定された部屋にたどり着き、ノック。
開いたドアの先にいたのは――エプロン姿の二人。
「いらっしゃいませ〜♡ 準備バッチリですよ♪」
部屋中に広がる、ジューシーな肉の香り。
…香ばしい、がしかし。
「……なんで、二人ともエプロンしか着てないんだ?」
ラーヴィは手で目を覆う。
そう、彼女らは裸エプロンだった――!!
「それはですねぇ〜♡ まずはお席に♪まほ、お願いですわ♡」
「こっちです〜♡」
半ば強引にテーブルへ通されるラーヴィ。
並ぶ料理はどれもパワフルに旨そう……でも。
(ハハ…ハ……なんなんだこの状況は……)
幻刃は肉の山を焼いており、椿咲は見たこともない植物でサラダを作っていた。いや、作ってたというか…
(あれ…マンドラゴラ?アルラウネ?あとなんだあのキノコ…?これ食べて平気なやつか??てか、幻刃…肉、多すぎる……!)
目の前には、戦場のような量の料理がずらり。
思わず手を上げ、二人に尋ねる。
「ねえ、これって一体なんのためのパーティ?」
まず椿咲が口を開いた。
「去年の“刃恋多胤の乱”…私、ラーヴィ様に本命チョコ渡せてないんですの」
「いや、葵に渡してたし、それで済んだんじゃ…?」
「いえ、ラーヴィ様に直接渡せてないので♡」
圧がすごい。仕方なくうなずくラーヴィ。
次に幻刃。
「私もあの騒動、全然絡めてなかったんで…」
「今さらどうして?もう5月だよ?」
「小説の中での貴方様、相変わらずのポンコツっぷりが滑稽でしてね?可愛いなぁ…と思ったらつい」
…ああ、また向こうの世界の影響か。
でも、だったらなんで裸エプロンなんだ。
「最後に…どうして着ているのがエプロンだけなんだ?」
にこりと笑い、二人は声を揃えた。
「『ことぴー様のご企画』ですから〜♡」
…ああ、ユーザー企画。なるほど納得、
できるかぁーーー!!
「普通のエプロンでよくない!?」
もはや呆然とするラーヴィに、トドメのセリフが投下される。
「お姉様から聞きましたよ?」
「ラーヴィ、実は男の子って認めたらしいじゃない?フフッ♡」
「意識してないのを装ってたらしいではないですか♡可愛いところもあるんですのね♡」
「なので、意識してもらいたいなぁ~♡と、この格好なんですよ?どうですか♡」
「やめてくれぇぇぇ💦💦」
彼は赤面してしまう…1年前の彼からはまったく想像もつかない姿だ…
随分と丸くなってしまった…今も任務は冷静に、冷徹にこなすのだが…
あの銀髪の死神が…5人の手によって…開発されてしまっていた。
「…知りたくなかったよ、こんな自分がいたなんて…さ……はぁ…」
「ですが、どの女性にも、そのようになってしまうのでしたら、がっかりですわよ?」
「そうですねぇ…今でこそ信頼する椿咲や月美ちゃん、葵にミントまでだから、赦せてるんですからね?」
それもたいがいだよ…と思いながらも赤面しながら答える…
「…ほかの人はならないよ、こんなの…5人だからだよ…」
恥ずかしがる彼の姿にキュンとなり…そして二人の理性がぷつんと切れる――。
\おちまい/(:3」∠)
呪文
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