冬季廃墟の一夜 -One night in winter ruins-
肌を刺すような風が吹き抜ける。
そんな廃墟の街に 自分は辿り着いた。
勇者... 聞こえだけは良いが、
正直なところそこらの傭兵と差して変わりないものだ。
厄介事が起きれば、
貴族や王家から片付けを任され それに身を投じる。
英雄の末裔として... 血縁ってだけで
人生を左右されるような一族が勇者だ...。
「...いっそ自分が魔王にでもなって、
好き放題するのもいいかもしれん」
そんな絵空事を呟きながら歩いると、
倒壊した建物の影から 魔物が姿を現した。
「今日の晩飯はまた魔物か...」
呪文
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