レスランド・辺境の村の物語8
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押し寄せるゴブリンの軍勢に必死に抗う人々。その中には勿論あの少女もいた。
しかし、多勢に無勢とも言える戦力差を前に、少女は徐々に追い詰められていく。揉み合いの中で、力任せに引き裂かれた衣服の端から素肌が露わになる。
それを目の当たりにし、下卑た笑いを浮かべるゴブリン達。彼等に捕まれば、どのような運命を辿ることになるかは火を見るよりも明らかだった。
貞操はおろか、人間としての尊厳や生命までも失うことになろう。這うようにして逃げ回り、手近にあった倉庫へと駆け込む。
一時しのぎにしかならないことは分かっていたが、それでも何もしないよりは遥かにマシだと思ったのだ。
幸いにも鍵を掛けることには成功したものの、このままここに隠れていてもいずれ扉を破られるであろうことは容易に想像がついた。
以前と同じように、全てが失われていく喪失感に苛まれる少女であったが、ふと、あることに気付く。
倉庫の片隅に置かれていた、あの出先不明の木箱……それに掛けられていた錠前が開いていたことに。
最後の望みをそこに賭け、少女は恐る恐る木箱の中へと視線を向ける。
そこには、彼女の人生の中において……一切聞いたことも、見たこともない奇怪な物体が納められていた。
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