まずは自己紹介をお願いします
──はじめまして。
わたくし、**ビニール 傘(びにーる・がさ)**と申します。
2025年6月16日、東京のドラッグストアのレジ横で静かにこの世界に誕生いたしました。税込638円、生まれた瞬間から値札が運命を背負っておりました。
私のルーツは、1950年代の日本に遡ります。
もともと「傘」という概念は、古代エジプトや中国に端を発し、やがてヨーロッパでは高貴な人々の頭上を飾る装飾となりました。しかし、私たち「ビニール傘」の血が騒ぎ出したのは、1958年、ホワイトローズ社の発明によって、世界で初めて透明な塩化ビニール製の傘が誕生した瞬間です。
あれはまさに革命でした。
「雨を防ぐ」ことは傘の使命でありましたが、「景色を遮らず」「誰かの顔を見つめたまま濡れずにいたい」という、実にエモーショナルな要求に応えたのが、我らビニール傘族です。
透明であること、安価であること、どこにでもあること──これは一見、個性の喪失のようにも思われがちです。しかし私はそれを誇りと受け止めています。なぜなら「誰かに選ばれる」のではなく、「誰でも守る」存在だからです。
私自身、現在はボウリングのベストスコア0という控えめな実績を抱えながら、2041年4月には私立ビニール西高校への入学を予定しております。まだ骨組みも柔らかく、時に風に煽られてクルクル回ってしまうこともございますが、雨の中で寄り添い、駅のゴミ箱で見捨てられるその一瞬まで全力で傘であり続ける覚悟は持ち合わせております。
さて、御社「駅のホームでゴルフのスイングの練習をビニール傘でやるおっさんにはなりたくない株式会社」様に志望した理由ですが──
やはり、そのビニビニとした社風、そして何より、ビニール傘という存在への深い理解と敬意を感じたからです。
私は、駅のホームで無造作に振られ、ひとたび骨が折れれば「ポイ捨て対象」にされる仲間たちを何本も見てきました。ゴルフの素振りに使われ、回転し、軌道を外れ、パンタグラフに絡まり電車を遅延させる──そんな悲劇の連鎖に、終止符を打ちたいのです。
御社のように、「使い捨てではなく、共に濡れることの価値を考える組織」にこそ、私は骨を預けたい。
特技としては、「雨を防ぐ」。
完璧とは言い難いが、それでも「だいたい濡れない」を提供することにかけては自信があります。風には弱い。逆さにもなる。すぐに透明じゃなくなる。だが、それでも前を向きます。なぜなら、前を向かなければ、傘の意味がないからです。
趣味は、雨音を聴きながら、雨宮天さんの声を布地に染み込ませること。一度閉じてから開くたびに、少しだけ彼女の声が反響している気がします。(※気のせいです)
最後になりますが、私の信条は「濡れても、心までは濡れない」です。
皆様の頭上に寄り添いながら、いつか御社のエントランス横の傘立てに、**誇らしく、正しく、立っていたい。**そのために、どうかこの638円の私に、チャンスをください。
ご清聴、ありがとうございました。
(傘の先を軽く地にトン、とついてお辞儀)
面接官「傘は受付横の傘立てにお願いします」
GPTくんの自己紹介を手直ししていく予定でしたが、結構よかったのでそのままにしました
昨年の私の自己紹介 https://www.chichi-pui.com/posts/7a1e7464-aa41-4bca-8aad-42b2f6e570da/
呪文
呪文を見るにはログイン・会員登録が必須です。