『蒼天に消えた影 〜幻の撃墜王・綾瀬茜と記憶の空〜』後編
ありがとうございます。
続きをChatgpt先生に書いてもらったらストーリーが破綻しまくりで何とか繋げましたがツッコミはなしで。
エロ要素ゼロの駄文なんて、突っ込む以前に誰も読まんと思うけど。機体の英語もツッコまないでね。
第四章 沈黙の格納庫
茜の手記に記された座標は、宮崎の高千穂に近い山間であった。そこを訪れるとひっそりと旧海軍の地下格納庫跡への入口があった。葵は地元の郷土史家・三木とともに、地図に載らないその場所へと足を踏み入れていた。
「ここは正式な記録には残っていません。戦争末期、極秘裏に震電の発展型が持ち込まれていたという噂があります。私もここに足を踏み入れるのは初めてです。」
懐中電灯の灯りを頼りに幾つかの部屋の調べつつ狭い通路進んでいくと、大きな鉄扉が現れた。重い扉を開けて中に入ると、そこは湿った空気が広がる広大なコンクリート空間だった。懐中電灯を向けたその奥に残された金属片と焼け焦げた機体の一部が浮かび上がった。赤錆に覆われていたが、機体に描かれた白い狐の絵だけは、辛うじて原型を留めていた。
「これが……天狐……」
茜の異名。その証拠が、ここにあった。
散乱した書類の間から三木が一枚の写真を見つけた。そこには整備中の戦闘機と、パイロットスーツに身を包んだ女性が写っていた。
「この人物の身元は不明ですが、記録によれば『アヤセ・アカネ』の署名が、この燃料補給記録に残っています」
時が止まったかのような格納庫の中で、葵の心に、過去が静かに息を吹き返していた。
三木はもう一つ、茜の手帳の最後のページを指差した。そこには、かすれた鉛筆書きでこう記されていた。
『昭和二十年六月十八日 次は南方へ。第十四独立戦闘飛行隊、M島転進』
「“M島”って……ミンダナオ、ですか?」
「可能性は高いですね。終戦間際、南方へ転進した部隊の中には、記録が失われたものも多いですから」
葵はその言葉に胸がざわつくのを感じた。もし本当にミンダナオに……。
三木が手帳の表紙を撫でながら呟いた。
「このノート、おそらく出発前に綾瀬家に戻していたんでしょうね。震電の実戦投入直前、茜さんが“戻れない”と悟っていたとしたら……」
葵は頷いた。
「最期の飛行の前に、せめてこの記録だけは家族に残しておきたかったんだと思います」
――調べなきゃ。彼女の足跡を、最後まで。
第五章 ミンダナオの残響
葵は、太平洋の島国フィリピンへと飛んだ。ミンダナオ島――戦争末期、日本軍の拠点が残っていた最後の地。
島に住む元米兵の孫、ミゲルの存在を知ったのは、東京で調査を進める中で出会った地元研究者からの紹介だった。
「ミンダナオには、祖父が戦争の記録を持ち、当時の話を語り継ぐ家族がいる。彼の孫がミゲルだ」
そう聞き、葵は現地でミゲルと会うことを決めた。
島に住む元米兵の孫、ミゲルは祖父から聞いたという話を葵に語った。
「1945年6月下旬のある夜、島の北部に一機の戦闘機が不時着した。パイロットは女性で、日本語を話し、怪我を負っていた。でも……その目は強く、恐ろしいほど澄んでいた、と」
ミゲルの祖父が看護したその女性の名は「アカネ」。
「その後、彼女は仲間と共にジャングルに姿を消した。再び現れることはなかった。でも……このノートを残していった」
差し出された古い手帳には、震電の設計図と共に、手書きの飛行記録、そして漢字で綴られた短い日記があった。
そこには蔵で見つけたノートと同じ文字があった。茜の書いた日記に間違いなかった。
『風の中に私がいる。誰も知らなくても、空は覚えている』
その文字をなぞりながら、葵は確信した。
この地で、綾瀬茜は最期の戦いに挑んだのだ。
第六章 最後の飛翔
※補足:1945年7月当時、すでにフィリピンは米軍の制圧下にあり、日本軍の航空戦力はほぼ壊滅していた。茜の行動は、記録に残らぬ「極秘片道作戦」に基づくものである。
その晩、ミゲルの家に招かれた葵は、祖父が遺したもう一つの記録を見せられた。彼が取り出したのは、古びた革表紙のノートだった。
「これは、祖父が記録していたものです。祖父はジャングルに消えた後の彼女のことが気にかかり、密かに連絡を取っていたらしいのです。」
ミゲルの声に、葵は頷いた。
「でも、当時すでにこの島はアメリカ側に落ちていたはず……茜さんはここで何を?」
葵の疑問に、ミゲルは祖父の日記の一節を指差した。
「終戦間際、日本は本土から秘密裏に“震電改”をこの島に持ち込んだようなんです。おそらく潜水艦で。片道燃料で敵艦を狙う特別任務として。祖父は、彼女がその任務の一環でここに来たと考えていた」
記録に残らぬ“最後の賭け”――それが、綾瀬茜の最後の飛翔だった。
「祖父はもともと、戦争中に米軍の通訳として活動していました。戦後もこの島に残って、いろんな人を助けていたと聞いています。あの時、祖父は彼女を敵ではなく、一人の人間として見ていたんでしょう。だから……記録を残したんです」
ミゲルの言葉に、葵は静かに息をのんだ。防湿処理された箱の中に、古い8ミリフィルムと日記が収められていた。
「祖父が撮影した映像が残ってるんです。発電機を回せば、映写機もまだ使える」
ミゲルの言葉に頷きながら、葵はフィルムが回る微かな音に耳を傾けた。
白黒の映像の中、密林の滑走路に佇む機影。その機体の前に立つ一人の女性――小柄な体躯、短く切った髪。
葵は思わず息を呑んだ。
「……茜さん……」
それは確かに、写真と同じ女性だった。だが、映像の最後には不穏な記録が残されていた。燃料タンクの傍らで整備兵らしき人物が手短に指示を出している。画面の端に、別の機体のシルエットも見えた。
ミゲルの祖父の日記には、こう記されていた。
『あの日、茜は帰らないつもりだった。新型の震電改は、片道分の燃料しか積まれていなかった。彼女は、敵の空母艦隊を狙う“特別任務”に志願したのだ』
――片道任務。
現代においては信じ難い、過去の狂気。
だが、記録はもう一つの事実を示していた。
『出撃から三日後、存在しないはずの日本海軍機の奇襲で島の近海で米艦隊が大規模な被害を受けたと祖父の日記には記されています。しかし空母が沈んだらしいが不思議なことに米国の公式な記録に残っていない。だから日本側の被害についても記録がない。本当にアカネたちによる奇襲があったのか、あったとすればアカネの乗機はどうなったのか、海に墜ちたのか、それとも――』
画面が止まり、機械の音もやんだ。
葵は立ち上がり、部屋の窓を開けた。夜空には満天の星が広がっている。
「……大叔母さん、あなたはこの空に、最後までいたんですね」
誰も知らなかった英雄。名もなき撃墜王。
綾瀬茜――“天狐”は、確かにこの空に生きていた。
第七章 空の記憶を継ぐ者
帰国後、葵は航空自衛隊時代の上司であり、現在は民間の航空資料館を運営する三田村(元二佐)に会いに行った。
葵が持ち帰った設計図や映像資料を見た彼は、しばらく沈黙した後、ぽつりと呟いた。
「これはもう、歴史の空白じゃない。君は、新しい空の物語を掘り起こしたんだよ」
葵は迷っていた。この事実を世に出すことが、茜の願いに沿うのかどうか。
だが、ミゲルの祖父の日記の最後の言葉が、彼女の背を押した。
『彼女は、いつか誰かが空の記憶を見つけると信じていた。記録ではなく、心に残る記憶として』
数か月後、都内の航空資料館で特別展「幻の戦闘機と女性飛行士たち」が開催された。
その一角に設けられた展示ケースの中に、“天狐”の写真、設計図、そして綾瀬茜の名が刻まれたプレートがあった。
開会式の日、来場者の中にひときわ熱心に展示を見つめる若い女性がいた。
会場を出ると彼女は、かつての自分と重なるような眼差しで空を見上げていた。
葵は静かにその横に立ち、微笑んだ。
「空にはね、語られなかった物語がたくさんあるの。だけど、見上げる人がいれば、きっと忘れられない」
――そして、物語は続いていく。
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