不思議な家
その立て看板は教会のような建物の入り口に、目立つわけでもなく置いてあった。
午前中に街中へ用があって出掛けた帰り道に、その建物はあった。
用事の後は特に予定もなかったので、寄り道をして普段使わない道を歩いていた。
建物へ入る扉は半開きになっていたが近づいてみないと中の様子はわからなそうであった。
いつもならばちらと横目で見て素通りするところだが、今日に限っては暇を弄んでいたのでちょっと中の様子を窺うことにした。
中を覗くと四畳半ほどの空間が広がっており、一人の女性が床に腰を下ろしていた。
一面木造のような茶色で統一された空間が広がり、床に土を撒いていないにも関わらず様々な花が咲き乱れていた。
女性の背後には奥へと続きそうな扉があった。扉は奇怪な模様が施され、木造のような空間には似つかわしくない重厚な雰囲気が漂っていた。
異様な空間に佇んでいた女性もまた風変りな恰好であった。
黒髪のショートヘアで片側に編み込みを施し、大きく鮮やかな花飾りをあしらっている。
目の虹彩は赤く、すっきりとした顔立ちに対して大きな瞳が特徴的である。
黒のローブが肘あたりまで着崩し、赤のジャケットに白のブラウスを合わせている。
胸は大きく膨らんでおりブラウスがはちきれそうである。
太ももから下は素肌が見えており、はっきりと言って目のやり場に困る容姿であった。
「ようこそ、いらっしゃいませ。」
女性が微笑みながら声をかけてきた。
状況の整理がつかないまま声をかけられたので、咄嗟に言葉が出ず軽く頷くことしかできなかった。
少しの間があって、こちらから問いかけた。
「あの、ここでは何を体験できるのでしょうか?」
「それはこの先に進んでからのお楽しみになります。」
マニュアル人間のような回答が返ってきた。直感で、お楽しみの内容についてはこれ以上詮索しても女性の口からは出てこなさそうに見えた。
「体験時間は何分くらいですか?」
「それはご自由になります。」
好きなタイミングで体験を終了することができるということなのだろうか。徐々に知的好奇心が駆り立てられてきた。
しかしながら、一人でこの先に進むことは少々心細い。この先は一人なのかと聞くと、
「私がお付き添いいたします。自由にお使いください。」
求めていたベクトルと違う方向から凄まじい情報が流れ込んできた。
自由に使っていいとは一体どういうことなのか。あらぬ妄想まで飛躍してしまい、心臓の鼓動が早くなっていた。
「心の準備がよろしければ先に進みますが、いかがでしょうか?」
回答を求められた。だが、もう心中は決まっている。初めてはっきりとした口調でこう答えた。
「いや、自分、冒険心ゼロなんで。得体の知れないものには関わりたくないんで。」
そういやこんな胡散臭いところに足を踏み入れるキャラじゃなかったわ。
自身のキャラを思い出し、その場を後にした。
イヤー、イイハナシダッタナー
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