兎にも角にも -Escape-
空洞に有象無象の鳴き声が響き、
水溜まりの面が揺らいでいる。
今やモンスターが蔓延り ダンジョンと化した坑道。
一部ぬかるんでいる足元を躊躇なく踏み抜き、
二つの長い耳をゆさゆさと疾走する少女がいた。
「くそがー!
ろくでもないクエスト寄こしやがって」
彼女は万年貧乏の冒険者である。
事の始まりは二日前...
知人のクエストブローカーから
一件の依頼を聞いたのが最初だった。
「何がおつかい系の簡単なクエストだ!
目当ての物は見つからんし、
モンスターがこんないるなんて聞いてねぇ!」
呪文
入力なし