夜明けと蛍
川に着いたとき、空はまだ暗く、星が輝いていた。私は自転車を降りて、川岸に近づいてのぞき込む。そこには、小さな光が点滅していた。
蛍だった。嬉しくなって、手を伸ばしてみると、一匹の蛍が手のひらにとまってくれた。私はその光に見とれた。
ふと、「ありがとう」とつぶやくと、蛍はその言葉に応えるように、再び飛び立った。
やがて、東の空が明るくなってきた。空を見上げる。朝日が昇っていた。その光は蛍の光よりも強く、暖かかった。その光に包まれた私は笑う。
「さようなら」と言った。蛍たちは別れを告げるように一斉に光った。その光を見送り、帰り道についた。
学校に行かなかった。でも、それを後悔しなかった。見たいものを見たから。
呪文
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