日傘のなかの青い海
エルフのララは、眼鏡のブリッジを指先で押し上げながら、隣に立つ友人のステラを睨んだ。目の前には、白波が美しく輝くどこまでも青い水平線が広がっている。しかしララの胸にあるのは感動ではなく、容赦なく照りつける太陽への強い警戒心だった。
「せっかくの休暇よ! こんな綺麗な海なんだから、少しはロマンチックな気分になりなさいよ」
「潮風で本がふやけるわ。それにこの光線、活字を反射して目に優しくないの」
「ララ、あなたその可愛いドレスを着て、ロケーションと完全に戦ってるわよ」
お気に入りの青いドレスの裾をはためかせながら、ララはがっくりと肩を落とした。
「……私のポテンシャルは、薄暗い書庫のベッドの上でこそ発揮されるのよ。一刻も早く、あの湿気と静寂の楽園へ帰りたいわ」
「贅沢な悩みねえ。ほら、そこでおとなしく読書してなさい!」
ステラに背中を押され、ララは渋々と木製の柵に腰掛けた。白い波が足元で楽しげにくだける音を聞きながら、彼女は愛読書をぎゅっと抱きしめ、深い溜息をつくのだった。
呪文
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