西暦2074年東京(中)
全力で走っているにもかかわらず、少女の背中はどんどん遠ざかる。
未来人はこんなに足が速いのか、それとも靴に細工がしてあるのか。
追いかけているうちにわき腹が痛くなり、その場に座り込む。
必死に走っていたのでどこをどう走ってきたのかも分からない。
もう元の世界には帰れないのだろうか。
泣き顔を見られまいと顔を抱えた膝に押し当てる。
「どうしたの、何かあったの?」
突然声を掛けられ顔を上げる。
警官のような制服を着た女性がこちらをのぞき込んできた。
髪は白銀色で背は私より少し高い。
「はい、私は帰り道にいつもと違う路地を曲がって、
そしたら急に空が暗くなって、気づいたらここにいたんです。」
ありのままを伝える。
「ところであなた、IDカードは持っているの?」
「ID?未来では当たり前なんですか?私は2024年から来たんです。」
「2024年…、あなたタイムトラベラーなの?」
「そんなSFみたいな、自分でも何が何だか…。」
「最近時空の歪みに嵌る人が多いのよね、立ち話もなんだし一旦交番まで来て頂戴。」
知らない町、50年後の未来、藁にも縋る思いで彼女についていった。
つづく
PixAIにて作成
model: VXP Type-A (1.6) Type-A
呪文
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